自社ブランド(PB)の商品を作っている工場で、もし問題が起きたら。
自社ブランド(PB)の商品を作る工場で問題が起きれば、名前が出るのは工場ではなく、自社のブランドです。そのため、委託先の工場を確認する仕組み(CSR監査)を持つ会社が増えています。
ただ、この仕組みは一度作れば終わり、ではありません。確認する項目は毎年見直され、委託先は増えたり減ったりし、扱う情報は繊細です。作ったあとも、壊さずに手を入れ続けられることが欠かせません。
この記事では、PBを持つ小売・専門店に向けて、委託先の確認を小さく始め、品質を軸にしたAI駆動開発で育てていく方法を、大手アパレル企業の事例とあわせて紹介します。
1. なぜ今、委託先の工場まで確認するのか
2026年9月に厚生労働省が公表した結果では、技能実習生を受け入れている国内の事業場に監督指導に入ったところ、73.2%で法令違反が見つかりました。いちばん多かったのは、賃金でも労働時間でもなく、機械などの安全基準の違反です。国内の工場でも、働く人の扱いから安全まで、問題は身近にあります。
他社ブランドの仕入れ品なら、工場の管理はそのメーカーの役割です。しかし自社ブランド(PB)は、自社の名前で売る以上、どの工場で、どんな環境で作られたかを説明するのは自社です。商社やOEMメーカーを通していても、「任せていたので知りませんでした」は通りません。
大手も動いています。ユニクロを展開するファーストリテイリングは2026年、欧州の規制への対応として、世界700以上の取引先工場で監査を強化していると報じられました。国も2022年に、取引先まで含めて人権に配慮するよう求めるガイドラインを出しています。

2. 何を確認するのか
委託先に、自社が守ってほしい基準(行動規範)への同意をもらい、調査票で毎年確かめて、記録に残します。確かめる分野は、働く人のことだけではありません。
| 分野 | 確かめることの例 |
|---|---|
| 法令・許可 | 営業許可、建物の許可、消防や環境の検査、労働契約 |
| 働く人 | 児童労働・強制労働、賃金と労働時間、差別やハラスメント、労働組合をつくる自由 |
| 安全衛生 | 避難経路、消火設備、機械や電気配線の安全、化学物質の管理、健康診断 |
| 環境 | 排水や排出物の検査 |
| 公正な取引・品質 | 汚職の防止、反社会的勢力との関係、品質を保つ取り組み |
| 再委託 | 別の工場に仕事を回すときに知らせているか、同じ基準を守らせているか |
項目は「至急の改善」「次回までに改善」「継続的に改善」のように重要度で分けておくと、本当に急ぐべき問題が埋もれません。
3. Excelとメールでは、続かない
- 委託先が増えるほど、送付・催促・回収の確認だけで手一杯になる
- 返ってきたファイルを1つずつ開かないと、誰が回答したか分からない
- 商社やOEMメーカーの先にある工場の情報が、転送を重ねるうちに届かなくなる
- ファイルが年度ごとにばらばらで、前の年と比べられない
結果として、確認は数年に1回になりがちです。さらに、調査票には法令違反の有無など繊細な情報が含まれます。メールの添付が転送されるうちに、誰の手元に何があるか分からなくなること自体がリスクです。

4. 作って終わりにならない。だから、品質を軸にしたAI駆動開発で作る
委託先の確認の仕組みは、作ったあとも変わり続けます。ここで、作り方の違いがはっきり出ます。
| 変わり続けること | 起きがちな問題 | 品質を軸にしたAI駆動開発では |
|---|---|---|
| 調査票の設問や行動規範を、毎年のように見直す | 設問を変えたら、過去の回答や評価点の計算がずれる | 改修のたびに、影響する範囲を独自ツール(DeltaLint)とAIで横断的に調べてから直す |
| 委託先や工場が増える。海外の工場には多言語が要る | 機能を継ぎ足すうちに、別の画面や集計が壊れる | AIが書き、別のAIが確かめ、最後に人が承認する。何重にもレビューしてから出す |
| 担当者が替わる。取引先から「この評価はどう出したのか」と聞かれる | 仕組みの中身を、誰も説明できない | コードから仕様を起こし、AIに聞けばいつでも答えられる状態に保つ(仕様解説BOT) |
| 繊細な情報を扱う | 脆弱性への対応やアップデートが後回しになる | 影響を確かめながら、アップデートを止めずに続ける |
プレスマンは、AI駆動開発を速さより先に品質を守るために使っています。そのうえでAIを使うので、小さく始める段階の費用も抑えられます。少人数でも、品質を落とさずに改修を続けられることが、長く使える仕組みの条件です。

5. 小さく始めて、育てる
いきなり大きなシステムを作る必要はありません。
- ステップ1:配布と回収をオンラインに
- フォームで調査票を配り、回答を1か所に集めます。まずは「誰が回答したか」が見える状態にします。
- ステップ2:委託先が自分で回答・登録できる仕組みに
- 委託先ごとにログインし、行動規範への同意と調査票への回答を行います。委託先が自社の取引先工場を登録でき、未回答の先には自動でリマインドを送ります。
- ステップ3:評価と比較、他の業務とつなぐ
- 重要度に応じた評価の自動計算、年度ごとの比較、多言語対応を加えます。
委託先が数十社で、確認の項目も標準的なら、ステップ1や既製のサービスで十分なことも多くあります。自社の取引の形(商社を通した工場の把握、複数ブランドの管理など)に合わせる必要が出てきたときが、自社に合った仕組みを作るタイミングです。

6. 事例:メールとFAXの監査から、取引先とその先の工場までつながる仕組みへ(大手アパレル企業)
ある大手アパレル企業では、取引先へのCSR監査の調査票を、メールやFAXで配布・回収していました。言語ごとに資料を用意し、回収した回答を整理し、回答の有無を確認する作業に手間がかかり、監査は数年に1回の実施にとどまっていました。
最初の相談は、フォームで回答を回収し、1つのシートに集めるという小さな案からでした。そこから、運用で必要なことを1つずつ足していきました。
- 取引先がそれぞれログインし、行動規範への同意とCSR監査の調査票への回答をオンラインで行う
- 取引先が、自社の委託先の工場を登録し、工場にも回答を依頼できる
- 回答状況と同意状況を、取引先別・工場別に一覧で確認できる
- 調査項目を重要度で分け、評価を自動で計算する
- 海外の工場を見据えた多言語での利用
現在は、取引先とその先の工場が実際にこの仕組みで回答しています。稼働後も、多言語対応の拡充や運用の改善、定期的なアップデートと脆弱性への対応を、少人数のチームで続けています。
7. まずは、御社の今のやり方を聞かせてください
次のどれかに詰まったら、仕組みを見直すタイミングかもしれません。
- 自社ブランドの商品が、どの工場で作られているか(再委託先も含めて)一覧にできない
- 委託先の確認の回答状況を、すぐに答えられない
- 確認した記録を、取引先に見せられない
弊社プレスマンは、業務システムの受託開発と運用を長く続けてきた会社です。取引先とその先の工場をつなぐ確認の仕組みを、小さな案から設計・構築し、品質を軸にしたAI駆動開発で運用・改善まで担っています。「まだExcelとメールで回している」「何から手を付ければいいか分からない」という段階からのご相談も歓迎しています。
AI駆動開発 “新”受託開発(株式会社プレスマン)創業94年






