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【導入事例】「感覚」を信じ、「データ」で確かめる経営へ アパレル特有のSKU管理と業務フローを支える、kintone活用のリアル

取材対象: 株式会社ジム様(取締役 副社長 八木原 雄介 様)

長年、感性と経験が重視されてきたアパレル業界。しかし、EC化の加速や市場の変化に伴い、正確な在庫管理とスピーディな経営判断が不可欠となっています。 今回は、老朽化した基幹システムから「kintone」ベースの新システム『 アパレルの達人へ移行を決断された株式会社ジム(gim co.,ltd.)様(以下、gim様)にお話を伺いました。パッケージシステムやスクラッチ開発ではなく、なぜkintoneを選んだのか。そして、現場導入のリアルな現状と今後の展望について、プロジェクト責任者である取締役 副社長 八木原 雄介様に語っていただきました。

(写真)左から株式会社ジムの八木原様、右は株式会社プレスマン(弊社)の影山、関口。

1. 脱却のストーリー(Before)

〜SKU管理の限界と、見えなかった「今」〜

── まずは、今回のシステム刷新に至った背景についてお聞かせください。以前の環境では、具体的にどのような課題を抱えていらっしゃったのでしょうか?

gim様: もともとの発端は、3年ほど前に国の「事業再構築補助金」に採択されたことでした 。コロナ禍で売上が落ち込む中、BtoC事業を強化し、しっかりと売上を伸ばしていく事業計画を立てたのですが、そこで大きな壁になったのがシステムの老朽化です。以前のシステムは、不備が起きてもすぐに直せる人がいない状態で、何より「SKU単位(サイズ・カラー別)での在庫管理ができていない」というのが最大の課題でした。

(写真)1階店舗(I CAN’ T GIVE YOU ANYTHING BUT KNIT by gim)内で、株式会社ジム 取締役 副社長 八木原 雄介 様

── アパレルにおいてSKU管理がうまくできないというのは、致命的な課題になり得ますね。

gim様: そうなんです。旧システムでは、リアルタイムで正確な在庫が把握できておらず、Excelで手動アップデートを繰り返す日々でした。 私がこの会社に参画して、一番の課題は「現状の把握がしにくい」ことでした。在庫も経理も、「今どうなっているの?」という数字を出すのにものすごく時間がかかる。現状が把握できないと、ゴールを立ててもギャップが分からず、意思決定が遅れてしまいます。この「見えない状態」からの脱却が、今回のプロジェクトの出発点でした。


2. 賢い投資判断(Why)

〜「パッケージ」ではなく、共に業務を見直す「パートナー」を選んだ理由〜

── システム選定の際、アパレル特化のパッケージソフト等も検討されたと伺いました。最終的にプレスマンの提案するkintoneベースのシステム(アパレルの達人)を選ばれた「決め手」は何だったのでしょうか?

gim様: 確かに、社内ではパッケージシステムと、プレスマンの提案のどちらにするか、かなり議論しました。 パッケージシステムのメリットは、やはり「安心・安定」です。しかし一方で、SaaS連携や拡張性の自由度が低いのではないか、アップデートのたびにエンジニアへの依頼が必要で内製化が難しいのではないか、という懸念がありました。

── 変化の激しい時代だからこそ、拡張性や自分たちで触れる柔軟性を重視されたのですね。

gim様: その通りです。プレスマンを選んだ理由は主に3つありました。 

  • 1つ目は、アプリ連携などの「拡張性の高さ」。アプリ連携が容易で、将来的な発展性があります。
  • 2つ目は、現場が慣れれば自分たちで在庫確認や資料出しができ、「属人化」を防げること。慣れてくれば現場も扱いやすく、外部(外出先)からも在庫を確認できる。資料も自分たちで出せるようになるので、特定の人に依存しなくなります。
  • そして3つ目が一番大きく、単にシステムを入れるだけでなく、「根本的な業務フローの見直しをセットでできる」という点でした。パッケージだと既存の業務に合わせる必要がありますが、kintoneなら当社の業務フローを根本的に見直し、本質的な課題解決や業務改善をセットでできる。そこに、プレスマンへの期待がありました。

我々の業務課題の本質に向き合ってくれるパートナーとして期待し、kintoneでの開発を決断しました。


3. 現場への定着(How)

〜「80%の完成度」から目指す、完全な在庫管理への道のり〜

── 実際に導入を進める中で、現場の反応や定着具合はいかがでしょうか? 導入プロジェクトには苦労も付き物ですが、率直な現状をお聞かせください。

gim様: 正直に申し上げますと、まだ「過渡期」というのがリアルなところです。 アパレル特有の複雑な商習慣やルールの仕様化に、予想以上に時間がかかりましたし、引き取り依頼などのフローでエラーが出ることもあり、まだ100%スムーズとは言えません。 現状の完成度は75〜80%くらいでしょうか。ただ、以前のシステムは限られた担当者しか触れない「ブラックボックス」でしたが、kintoneになったことで、慣れれば誰でもアクセスしやすくなり、ポジティブな変化を感じ始めています。

── 現場への定着に向けて、どのようなマイルストーンを置かれていますか?

gim様: 来年3月に行う、SKU単位で棚卸しの結果をkintone に反映し、それを起点にSKU管理も本格始動させる計画です。今はそこに向けてプロジェクトチーム全体で、最終確認を行っている最中です。「基本のキ」である正確な在庫管理ができるようになれば、そこから精度の高い企画やMD(マーチャンダイジング)に繋げていけると確信しています


4. その先の展望(Future)

〜データドリブンな組織づくり〜

── 3月の本格稼働の先、蓄積されたデータをどのように活用していきたいとお考えですか?

gim様: まずは「ファクト(事実)」に基づいたスピーディな意思決定ができる組織にしたいですね。 これまでは「感覚」で話していた部分も多かったのですが、部門長クラスが「売上」だけでなく、販管費を引いた「営業利益」までをデータとして把握し、経営視点を持って企画を立案できる組織に変えていきたいと考えています。

──SKU管理などの現場目線に加えて、データドリブンの経営目線の浸透、でしょうか?

gim様: はい。実は、会計面での課題も大きいんです。部門別の会計がしっかりできていなくて、感覚や経験値で運営されている面が強い。表面上は儲かっているように見えても、営業利益で見ると想定と違った、みたいな気づきって、すごく大切だと思うんです。

今後は、売上・仕入・労務費・販管費などをkintoneで一元管理して、部門別の営業利益を可視化したいですね。そして、部門長が経営目線をしっかり持てるようにしたい。経営目線は社長だけでなく、部門長もしっかり持つべきだと考えています。

── 先ほどの打ち合わせでは、AI活用の話も出ていましたね。例えば、kintoneにデータさえ蓄積されれば、あとはAIが「今の在庫はどうなってる?」と聞くだけで答えてくれる実装が、AI(チャット)とkintoneを繋ぐことで見えてきますね。

gim様: そうですね。 kintoneを「データの基盤」とし、その上にAIという「優秀な助手」がいる状態を作れれば、現場の負担を減らしつつ、より高度な経営判断ができるようになると考えています。kintoneをデータの基盤として、AIをUI(インターフェース)として活用するイメージでしょうか。AIが「もう一人の総務部員」として機能するような状態が理想ですね。まずは3月、足元を固めて、その先の飛躍を目指したいですね。

取材後記

「システム導入はゴールではなく、業務改善のスタートである」。gim様の事例からは、kintoneという柔軟なツールを武器に、アパレル特有の複雑な業務フローを一つひとつ紐解き、組織の意識改革まで繋げようとする強い意志が感じられました。来春の本格稼働と、その先のAI活用による進化が非常に楽しみなプロジェクトです。


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高橋 翔(Sho T)
株式会社プレスマンCINO(Chief Innovation Officer)/ 一般社団法人NoCoders Japan協会 代表理事/ / 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授 / 産学研究PJ「C3F」Founder / ICP Japan Co-Founder / Futurist
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