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ITmedia登壇レポート|NoCode市場の現在地〜成功・失敗から分かる活用の可能性〜

ITmedia主催のオンラインセミナー『現場の課題を「現場で解決」ノーコード開発の効果を最大化するコツ』の基調講演を、プレスマンCINO(Chief Innovation Officer)でありNoCoders Japan協会の代表理事を務める高橋 翔が行いました。

この記事では高橋が登壇した基調講演NoCode市場の現在地〜成功/失敗から分かる活用の可能性〜』の内容をレポートしていきます。

  1.  ノーコードの大きな流れと、現在地
  2.  実際の事例(成功例・メリット)
  3.  実際の事例(失敗例/気をつけること)
  4.  まとめ

ノーコード市場の全体像、そして最先端を知り、自らの環境に照らし合わせて考えられるよう、様々な視点から成功例・失敗例を通しNoCode市場の理解がきっと深まるはずです。

NoCode(ノーコード)とは?
プログラミング/コードを書かずにアプリやサービスを作れる概念やサービスのことをいいます。近年、GoogleやAmazonなどの巨大企業をはじめ、シリコンバレーを中心に様々なNoCode関連企業が資金調達などで話題となり、日本国内でも「日経新聞」や「NewsPicks」などのメディアを通じて話題となっています。

1. ノーコードの大きな流れと、現在地

高橋のNoCodeとの出会いは2019年。そこでNoCodeの魅力と可能性を感じ、同じような想いを持つイノベーターたちを集めたいと思い、2020年1月には日本初のNoCodeミートアップ、2020年12月には国内初となる450名以上が集結したNoCodeサミットを開催しました。

多くのNoCodeイノベーターが集結し、様々な気づきを得ることができました。

NoCodeは、どこへ向かうのか?一過性の物なのか?世の中にずっと定着していくものなのか?そういったことをイノベーターと方々と議論していきました。

遡ればNoCodeは、ホームページ制作から始まり、デザイン/ドキュメント、EC、データーベース、アプリ、IoTや3Dなど、アプリなど海外含め資金調達のフェーズにきています。

まだまだ長期的にNoCodeの流れは続いていくことがわかっています。

最先端の一例をあげると、3D×NoCodeの「Roblox(ロブロックス)※」という非常に注目されているツールがあります。

※Roblox(ロブロックス)とは?
非技術者(ノーコード・ローコー ド)でも世界が作れるRobloxは、2021年3月にNY証券取引 所に上場。時価総額約5兆円、月間アクティブユーザ 2億人。クリエイターに収益が還元されるクリエイターエコノミーでもある。

これを広めていきたいと思い、10月10日にはメタバース文化祭を行う予定です。

メタバース文化祭の詳細はこちら

NoCodeツールは爆増している!なぜか?


なぜ今、NoCodeが爆増しているのか?

プログラミングで出来ることも増えている。それと比例し、NoCodeでできることも増えています。

経済産業省の調査(2019年)によると、2030年にITエンジニアが79万人不足するという試算があります。

しかし、NoCodeの活用によって「非技術者」でもできることを増やすことで、エンジニアはよりコアな開発に集中できるようになります。非エンジニアであっても、NoCodeツールの登場・活用により、IT創造をしていくことが可能になることが、各分野・各現場にとって非常に大きいのです。

つまり、NoCode(非エンジニアでもIT創造できる)を広げることで、「ITエンジニア不足の問題解消に貢献できる!」そんな思いから、一般社団法人NoCoders Japan協会の立ち上げなど、NoCode普及への活動も積極的に行なっています。

2021年10月からは複数社の理事体制によるマルチステークホルダー新体制への以降を開始し、2022年以降に会員の企業拡大して本格的にNoCode普及活動を行っていく予定となっております。

一般社団法人NoCoders Japan協会はこちら

2. 実際の事例(成功例・メリット)


タイトルにもある、NoCodeの現在地を事例と共に紹介していきたいと思います。

以下より、NoCoders Japan協会で理事を務める各企業が向き合ってきた、現場目線のノーコード事例をまとめて紹介していきます。

上記のイラストにあるように、例えば製造現場や、新規事業、EC/D2Cや事務、営業/マーケティングなど様々な現場がNoCodeで挑戦している事例となります。

ノーコードを活用し、何が良くなったのか?現場がどう変化したのか、事例をベースに現在地を知っていきましょう。

(1)製造現場での事例/Unifinity(ユニフィニティー)

課題:「現場」や「出先」での不便・非効率(現場ごとに技術検証要件など事情が異なり、業務が複雑化)

活用ツール
現場に強いモバイルアプリノーコード「Unifinity(ユニフィニティー)」。現場業務を簡単にモバイルアプリにできる。ドラックアンドドロップで、感覚的に必要な機能を追加できる。

改善:作業品質の平準化だけでなく効率化も実現/専門人材なしにアイディアベースで工夫、試すことができ手順や費用、リソースが一気に簡略化。

点検業務アプリUnifinity:https://www.unifinity.co.jp/

(内容の詳細は、講演資料を参照)

(2)事務での事例/SaaskeWorks(サスケワークス)


課題:属人化する事務作業が地域活性化の妨げに(事例:砂町銀座商店街さまなど)

活用ツール
あらゆる業務をアプリ化出来る「SaaskeWorks(サスケワークス)」。
今回はスマホで全て完結する3つのアプリをノーコード(サスケワークス)で非技術者中心に作成(→書類一括管理、相談アプリ、タスク管理アプリ)。結果、砂町商店街の理事会にて「サスケWorksを活用したDX化」がすべて承認された。

改善:課題が分かれば解決できるということを実感。ただし要件定義など設計スキルが必要。今回の場合は、サスケWorksがサポートし課題解決を実現。

SaaskeWorks(サスケワークス):https://store.work-s.app/JP/

(内容の詳細は、講演資料を参照)

(3)営業・マーケティングでの事例/ferret One(フェレットワン)



課題
:潜在顧客や 多業種により営業・マーケティングリーチ出来ず機会損失。

活用ツール
LP +Webマーケティング機能がパッケージとなった「ferretOne(フェレットワン)」。NoCodeベースで、LP、フォーム作成、A/Bテスト、SEO、CRM、コンテンツマーケ、数値(アクセス分析/行動履歴)、広告配信。営業・Webマーケティングに特化した機能を搭載。

改善:ノーコードツールを活用することで、属人化していた御用聞き営業の役割を果たすことができた。3ヶ月で80件ものお問い合わせや、サイト経由での商談が0から40件以上に拡大した事例も。また嬉しい誤算として成果を聞いた別部署が興味を持ち、社内全体がWebマーケティングに興味を持ち、組織改革のきっかけになった。

ferret One(フェレットワン):https://ferret-one.com/

(内容の詳細は、講演資料を参照)

(4)EC/D2Cでの事例/ Sketto(スケット)


課題:コロナ禍で、EC/D2Cへの対応に迫られるが、技術・運用の障壁

活用ツール:ノーコードを中心としたEC/D2Cパッケージ支援「Sketto(スケット)」。プロフェッショナルノーコーダー、SNSマーケ支援、必要に応じた技術支援を行い、立ち上げから結果を出すフェーズまで伴奏を行う。

改善:EC立ち上げ1ヶ月でSNSフォロワーが70名→1,200名。取り扱い数10万件以上ある大規模ECサイトの移行及びリニューアルによる売上拡大など。

Sketto(スケット):https://www.pressman.ne.jp/service-product/sketto

(内容の詳細は、講演資料を参照)

(5)新規事業/ sowacana(ソワカナ)


課題:いかにミニマムに新規課題を立ち上げられるか

活用ツール:ノーコードツールの範囲であれば柔軟に仕様の変更・拡張が可能。ノーコードで課題を解決する「sowacana(ソワカナ)」。

改善:何ヶ月もかけていた開発が3週間で完了。悩んでいた時間とコストの問題が、ノーコードで解決された。またノーコード社員教育への流用なども。

sowacana(ソワカナ):https://sowacana.com/

(内容の詳細は、講演資料を参照)

3. 実際の事例(失敗例/気をつけること)

続いて、こういったNoCodeを活用事例は失敗しがち。失敗事例に共通する注意ポイントを4つ紹介していきます。

(1)完璧な壮大な計画を立ててしまう

壮大な要件定義をして複雑になりすぎてしまい、作り始められなくなるケース。これまでのシステム開発のイメージ(要件定義にないものはNG)の世界(ウォーターフォール開発)から切り替えられず、小さく積み上げる(アジャイル開発)こと ができず、素人中心のメンバーで始めることが難しくなるケースがあります。ノーコードは1機能のアプリ化からでもスタートできる「マイクロDX」を実現するものです。

(2)しなくても良いことを、軽いノリでしてしまう

ノーコードで気軽にできると思ってしまうあまり、思いついただけで、実はプライオリティ の低いことをしようとしてしまうケース。「お昼のお弁当発注が大変だからアプリ化しちゃおう!」みたいな軽いノリでノーコード導入をしようとしたが、「よく考 えたらアプリ化するほどでもなかった」としてやめてしまうなどのケース。本当にやる意味はあるか、プライオリティを考えてから始めると良いです。

(3)最初から、魔法のようにできると思ってしまう

ノーコードと言っても、最初は自ら習熟するか、サポート/伴奏が必要になってきます。すぐに魔法のようにはいかず、慣れるまではそれなりに努力が必要です。今回事例で紹介したようなツールベンダーや伴奏企業と共に、上流の設計を行った上で徐々に導入して積み上げていくか、自ら独学か教育を受けるなどして、習熟していく必要があることは忘れないようにしましょう。

(4)担当者が、明確でない

新たなこと(ノーコードを導入していくなど)をするときには、それなりにコミットする必要があります。担当者が明確でなく、いつの間にか導入が先送りになってし まったり、掛け持ちしていた担当者が忙しくてなかなか進まないといったケースもあります。しっかりと担当者をつけて、会社としても重要な業務であることを評価指標に入れるなどして設計することが大事です。

4. まとめ


現在地・メリット

  • NoCodeはHPからEC、アプリ、3Dなどできることが拡大中
  • 今後も2030年エンジニア不足課題の解消としてNoCodeの流れは続く
  • 時間/コストの制約から解消され、「できる」思考に変化

業務の視点、組織の視点、組織に属する個人の視点、働き方の視点など、ノーコードによって変革する内容の解像度を高めていただき、皆様が「挑戦」できる状況に向けて動き出すためのきっかけとなれば嬉しいです。

(内容の詳細は、講演資料を参照)

登壇者の紹介


高橋 翔 

株式会社プレスマン CINO(Chief Innovation Officer)
一般社団法人NoCoders Japan協会 代表理事

NTT東日本にて11年間新規事業等に従事し、その間プロボノとしてベンチャー企業の設立経営に関与、世界初SNSブロックチェーンSTEEMのエバンジェリスト等を行い、アドバイザリーや講演を行う。2020年にWordPressを利用したシステム開発とメディア事業を行う株式会社プレスマンのCINOに就任。NoCoders Japan協会の理事を兼任し、NoCodeの発展に従事。ノーコード人材が800名超登録するプラット フォーム「NOCODO(ノコド)」を立ち上げる。

ABOUT ME
落合 悠加
営業部、Webマーケティング部を経て、採用・PRを担当。プレスマンのミッションである「IT×人力で世界を変える」チャレンジを、社内外に発信・浸透をしています。人と関わったり、つながりをつくることが好きなので、採用を通してたくさんのご縁を作っていければ嬉しいです。