インターナルモビリティは、社員が現在の部署や職種に固定されず、社内の別部署やプロジェクトで活躍できるようにする人材活用の考え方です。
人材不足への対応、社員のキャリア形成、離職防止などにつながる一方で、導入すれば必ずうまくいくわけではありません。特に注意したいのが、「人を動かすこと」だけを目的にしてしまうことです。
インターナルモビリティでは、人材を受け入れる部署だけでなく、人材を送り出す部署、参加する社員、人事部門など複数の関係者が関わります。そのため、運用方法が曖昧なまま導入すると、かえって現場の負担が増える可能性があります。
ここでは、インターナルモビリティの代表的なデメリットと、その対策を解説します。
インターナルモビリティの主なデメリット
インターナルモビリティの主なデメリットは、次の5つです。
- 優秀な社員を送り出す部署の負担が増える
- 通常業務と新しい業務が重なる可能性がある
- 希望する社員と会社のニーズが一致しないことがある
- 人材情報の管理や更新に手間がかかる
- 制度を作っても利用されない可能性がある
重要なのは、これらを「インターナルモビリティそのものの欠点」と考えるのではなく、運用設計によって解消できる課題として捉えることです。
デメリット1:優秀な社員を送り出す部署の負担が増える
インターナルモビリティを進めるうえで、大きな壁になりやすいのが現在の所属部署です。
新しいプロジェクトから声がかかる社員は、現在の部署でも重要な仕事を担当していることが少なくありません。その社員が別部署の仕事に参加すれば、所属部署の業務量が変わります。
管理職からすれば、「なぜ自分の部署の優秀な人材をほかへ出さなければならないのか」と感じる可能性があります。
この問題を「管理職が人材を抱え込んでいる」と単純に判断するのは適切ではありません。社員を送り出したことで、残された社員の残業が増えるのであれば、管理職が反対するのは自然です。
対策
参加前に、プロジェクトへ使う時間を具体的に決めます。たとえば「業務時間の20%」「週5時間」など、現在の部署への影響を見えるようにします。
さらに、元の仕事を減らす、ほかの社員へ分担する、プロジェクト終了後に得た知識を所属部署へ戻すなど、送り出す部署にもメリットのある仕組みが必要です。
デメリット2:社員の仕事が増える可能性がある
インターナルモビリティが「通常業務+新しい仕事」になってしまうケースがあります。本人が希望して参加したプロジェクトであっても、通常業務が100%残ったままでは負担が増えます。
新しい挑戦が残業や休日対応につながれば、キャリア支援どころか離職要因になりかねません。
対策
新しい仕事を追加するのではなく、「業務時間の一部を移す」という考え方が重要です。参加期間、担当業務、必要時間を明確にし、元の業務と合わせて全体の仕事量を調整します。
デメリット3:社員の希望と会社のニーズが一致するとは限らない
社員が「マーケティングをやってみたい」と考えていても、会社が必要としている案件と本人の経験が一致するとは限りません。
希望だけを優先すれば、プロジェクトの成果が出ない可能性があります。反対に、会社の都合だけで社員をマッチングすると、本人の意欲が低くなります。
対策
次の3つを確認します。
- 本人が持つスキルや経験
- 本人が挑戦したい仕事
- 会社が必要としている業務
この3つの重なる部分を探すことが、社内人材マッチングでは重要です。
完全一致する人を探す必要はありません。「現在70%対応でき、残り30%は経験を積みながら習得できる」といった考え方も必要です。
デメリット4:人材情報の管理に手間がかかる
インターナルモビリティを行うには、「誰が何をできるか」を把握しなければなりません。しかし、社員数が増えるほど、人材情報を収集・更新する負担も増えます。
一度登録しただけでは、社員の経験はすぐ古くなります。新しいプロジェクトへの参加、資格取得、業務経験などが増えるためです。
対策
最初からすべての情報を集めようとしないことです。現在の担当業務、過去の経験、得意分野、挑戦したい仕事など、マッチングに必要な情報から始めます。
さらに、プロジェクト終了後の経験を自動的・継続的に蓄積できる仕組みを作ることが重要です。
デメリット5:制度を作っても使われないことがある
社内公募サイトや制度を作ったにもかかわらず、誰も応募しないというケースもあります。理由としては、
「どの案件に応募できるのか分からない」
「上司に知られるのが嫌」
「仕事が増えそう」
「自分にできる自信がない」
などがあります。
社内公募を掲載し、社員が応募してくれるのを待つだけでは、利用者は一部の積極的な社員に偏りがちです。
対策
応募型だけではなく、会社側から社員へオファーする方法を組み合わせます。社員の経験から「この案件に向いているかもしれない」と候補者を見つけ、具体的に声をかけることで、新しいマッチングが生まれやすくなります。
デメリットがあるから導入しない、ではない
インターナルモビリティには課題があります。しかし、多くは「誰を、どのように、どの程度動かすのか」が曖昧なことから発生します。
人材不足が強まるなか、外部採用だけで必要な人材を確保することが難しい企業も増えています。中小企業白書でも、人材不足や採用時の応募不足が課題として示されています。
だからこそ、外部採用と社内人材活用を組み合わせる考え方が重要になります。
よくある質問
インターナルモビリティ最大のデメリットは何ですか?
人材を送り出す部署や参加する社員に負担が偏ることです。業務量を調整せずに導入すると、制度への反発につながる可能性があります。
社内公募だけでもインターナルモビリティはできますか?
可能ですが、応募する社員に偏りが出ることがあります。スキル情報をもとに企業側から候補者へオファーする仕組みも有効です。
小規模企業には向いていませんか?
社員数が少なくても導入できます。むしろ「誰が何をできるか」が管理職の記憶に依存している企業では、スキルを見える化する意味があります。
課題を増やさず、インターナルモビリティを機能させるために
インターナルモビリティは、人材を動かせば成功するものではありません。社員のスキル、本人の希望、各部署の課題、現在の業務量まで把握したうえで、無理のないマッチングを設計することが重要です。
PARKでは、社内にいる人材のスキルや経験と、各部署で発生している課題・プロジェクトを見える化し、条件に合う人材を探しやすい環境をつくります。
「制度を作っても運用できるか不安」「現場の負担を増やさずに社内人材を活用したい」と感じている場合は、まずは現在の人材活用の課題を整理するところから始めてみませんか。
PARKを活用することで、自社に合ったインターナルモビリティの形を検討できます。
社内人材活用やインターナルモビリティの進め方にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談下さい。





